公共事業の減少や民間設備投資の低迷で厳しい経営環境を強いられている建設業界のなか、受託産業からの脱皮を試みて
業績を伸ばしているのが管工事業の央幸設備工業。建設業のソフトランディング対策が進まないなか、2004年に立ち上げた
バイオ事業部の事業として軌道に乗りつつある。
当社の設立は1968年2月。
2年後に現会長の尾北紀靖氏が社長に就任。以降、建設業許可やISOの取得、エコアクション21を認証・登録するなど経営環境の整備を
進める一方、国、北海道、札幌市の自治体や大手ゼネコン、道内大手・中堅の建設業者に受注ルートを築き、順調に売上を伸ばしてきた。
しかし、売上拡大に利益が伴わず、バブル崩壊以降は焦げ付きも散発し、経営体制そのものの改革を迫られた。
そこで取り組んだのが民間元請受注のノウハウ習得と営業力強化。これに付随して人材教育にも力を注いだ。
採算が合わない下請受注は極力回避し、得意先の見直しも図り、我慢の時期を経て、官庁元請、民間元請、下請各1/3の
受注体制を確立した。民間元請は主にマンション管理組合で、人材育成による折衝能力を高めた成果が現れ、現在までの
マンション給排水管改修工事の受注実績は92棟、5795戸に及ぶ。
2013年1月期は前期比31%増の売上高を計上するに至り、元請受注のウエート増加や原価管理に対する意識高揚により収益力も
格段に向上した。
バイオ事業部は2004年に立ち上げた。サルノコシカケ科に属する霊芝(マンネンタケ)の栽培に着手、安全・安心で高品質な
霊芝製品をユーザーに安定的に供給することを目指した。
霊芝栽培は温度や湿度などの細かな条件次第で品質や含有成分が変化するため、高い空調技術が求められる。
建設設備が本業である当社のバイオ事業進出は、自社の強みである空調設備の技術基盤とノウハウが十分に活かせることを
確信してから始まった。以降、産業技術総合研究所などのサポートを得ながら温度、湿度、光、炭酸ガス濃度などの
様々な条件の組み合わせを変えた研究を繰り返し、今般製品化に至った。
2010年の日本食品分析センターの調べでは、当社の人工栽培による霊芝、特に希少性が高い鹿角(ろっかく)霊芝には、
体を元気にするβグルカンの含有量が100g中に60.6gという驚異的な結果が出ている。
またガノデリン酸の含有量も100g中に4mgと霊芝において世界的に見ても高いレベルにあることが実証された。
これら研究成果は、昨年(2016年)2月に産業技術総合研究所と共同で特許庁に特許(第6016006号)出願した。
現在はバイオ事業部を分社化し、霊芝の栽培、製品の研究・開発・製造を担う北海道霊芝、販売担当の旺煌を立ち上げ、
「旺煌」のブランド名で煎じ茶、ティーバック、サプリメントの「霊仙命湯」シリーズをオンラインショップで展開。
東アジアや東南アジアからの引き合いもあり、商談を進めている。
今後について「建設設備、バイオ事業いずれも一層の付加価値を高めて、社会貢献を推進したい」(尾北会長)としている。